それ、パワハラです

それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか (光文社新書)

それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか (光文社新書)

パワハラ事件に労働者側で多くかかわってきた弁護士が、自分の担当した事件を交えつつ、労働者が、パワハラに遭遇したときどうすべきかを書いた本。「何がアウトで何がセーフか」というサブタイトルからは、使用者側にパワハラのボーダーラインを教授する本のようにも思えてやや誤解を招く。
やはり大事なのは、証拠集め。ICレコーダーなりメモなり、客観的証拠にしておくことが必要。それからやはり手段として基本的に使い勝手がいいのは労働審判。費用は民事調停と同じ(200万の損害賠償請求なら7500円など)。
パワハラで難しいのは、言葉の暴力の「ひどさ」をどう立証するか。この本で取り上げられていた事例は、被害者が精神科を受診して何らかの病状と認定されていたものが多く、そうなると「それはひどい」と言いやすくなるけれども、そうでない場合に、どこまでがパワハラといいうるか。
最後「パワハラが起きる職場は、被害者を替えながらパワハラが繰り返される」ということが書いてあった。著者自身もなぜかは説明できないぐらいのようだけど、感覚として納得できる。