白蓮

恋の華・白蓮事件 (文春文庫)

恋の華・白蓮事件 (文春文庫)

大正三美人の一人、柳原白蓮(時々見る程度だけれど「花子とアン」で仲間由紀恵が演じている蓮子の”モデル”)について元新聞記者の女性が追った本。白蓮という人は華族の出で、10代のうちに家庭の都合で結婚し離婚。その後女学校に入ったりした後(ここでのちの村岡花子と出会ったそう)、伊藤という福岡の炭鉱王と結婚したのだけど10年後に宮崎という7歳年下の弁護士と駆落ち。その際「女からの絶縁状」を新聞に公開して、これがいわゆる白蓮事件というそうです。(華族を除籍されたり白蓮の兄弟が国会議員を辞職せざるを得なくなったり。)
花子とアン」では、蓮子が伊藤に「だったらどうしてあたくしと結婚したんですか」と聞いて伊藤が「お前のその身分と、顔じゃ!」と答えていて、「顔」も入っていたのが印象的で興味をもった。
絶縁状が朝日に載ることになったのは朝日がスクープしようとしたのを「このタイミングで載るとせっかく段取りした駆け落ちが失敗するからやめてくれ」と宮崎の友人が頼んでそれを朝日がokしたからだとか、毎日の、白蓮と仲良いと思ってた記者は全然知らずに朝日に抜かれて巻き返しのために伊藤の言い分を連載することにしたとか、最初から相談受けていて知っていた熊本日日新聞の記者、その上司は話せば長くなる記者としての気概から記事にはせず記者をやめることになるとか。
夫側だけ妾が公認みたいな家制度や家同士の結婚って考え方がこういう誰が悪いのかよくわかんない話を生んだんだなと。白蓮さんも言い分通そうと強いけど相当我慢もしていたようだし伊藤さんは伊藤さんで頑張ってたというようなことを生い立ちからいろんなエピソードで浮き彫りにしていました。
いろんな関係者やその親戚がでてきて且つ幼名だったりしてわかりにくいところも(逆にこういうのを分かりやすく書くのは大変なんだなと思った)。