みんなの意見は案外正しい

「みんなの意見」は案外正しい

「みんなの意見」は案外正しい

850個のジェリービーンズが入った瓶を見せられて、その数を言い当ててもらう実験をすると、グループの人それぞれの推測の平均値が、どの個人の推測よりもほぼ確実に正解に近い。とか、すごく賢い人が一人で判断するよりも、集団の平均の意見のほうが案外正しいこと、多いんですよ、って本。ただ、多様性や分散性が必要。集団の意見がどんどん(後から見れば)間違った方向に行く場合には多様性が足らないことがままある、というようないくつかの歴史的事実も紹介。
これを読んでて考えるのはやっぱり裁判員裁判の判断についてで、第9章の陪審の話が興味深かった。正しい判断をする集団としては一定の規模も必要で、小さい集団は、メンバー同士の与える影響が直接的で避けようがないから、判断は極端から極端へ振れがちで、判断を大きく誤る可能性があるとのこと。これを避けるためには、やはり少数派の意見の存在が重要で、これがあることによって議論が深まると実験データも示しているとのこと。それから、発言者の発言量が多いほど、また最初の発言順ほど、影響が大きいことを示すデータもあるそう。裁判長・裁判官があとから発言するってやり方は、その意味ではよいようだ。
ただ、この本、たしかに「どうして」みんなの意見が案外正しくなるのか、ということは読んでもわからなかった。なぜか知らないけど社会っていうものはそうなるらしいということか。