裁判モノ
- 作者: 門田隆将
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06
- メディア: 単行本
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裁判が人と人の中にあるということを忘れたような裁判官の発言は、批判されて当然だと思う。多くの人が見て「さすがにこれはどうなのか」と思う判決もある。人によって何を変だと思うかはそれぞれだと思うけど、打たれ強い結論はやはり、いろんな視点で考えられた上の結論ということになるのだろう。
少年の実名報道に対して賠償を認めた判決への批判などは疑問。「殺人を犯した少年の精神的慰謝料を認めたコンピュータ裁判官」とか徹底的に批判しているけど、被疑者の少年がどんなに酷いと思われるようでも、被疑者の権利も考えなければいけない。訴訟になる前に「そんな訴訟はやめろ」と諭せればよかったと思うけど、裁判所に出てきてしまった以上、裁判官として取れる手段は…比較衡量位か。事件の重大性からどこまで必要性相当性を広げるかは考え方が分かれうるだろう。実名報道によってリアリティのあるニュースにするという価値への評価の違いもあると思う。どこを「正しい」と考えるのかは、少年法61条のような拠り所のない限り、はっきり言って物差しの設定の仕様がないけれども、いずれの結論を出すにせよ、反対の考えも考慮したことをわかってもらうようにする努力は必要だろう。
「日本は法治国家ではない、徳治国家だ」という言葉を別の文脈で批判として最近聞いた。当然の前提として裁判は法律にのっとって平等に行わなれるべき。
全ての人に納得してもらえる裁判というのはなかなか難しいとおもうけれども、いろんな立場から考えて、極力、血の通った裁判にしていかなくちゃならないと思う。