累犯障害者

居場所を探して―累犯障害者たち

居場所を探して―累犯障害者たち

刑務所より福祉施設で更生をという、長崎での累犯障害者支援モデルに関する長崎新聞の連載。前から絶対読みたくてようやく読めた。こういう連載をしてくれて嬉しい。取材が十分にできたところもできなかったところもまっすぐ書いている。この分野の話は、知れば知るほど、直接支援に関われる立場に立ちたくなるというか…。本の後半は、長崎モデルができる過程の話でこちらも興味深い。山本譲司さんへのインタビューもある。
支援体制の存在を理由に執行猶予を付すことで気になるのは行為責任主義との整合性。必ずしも初犯では実刑といえない窃盗や無銭飲食を前提で説明を考えると、前科を重ねたことが再犯のおそれを高めるというのであれば、別の事情で再犯のおそれが高くないと判明すれば、フラットに解していい。何度も警告受けたのにやったという行為の点なら、責任能力が問題にならないにしても、受けた警告を差し引いて考えられるのでは、ってことかなあ。
でも支援体制あること理由に執行猶予に付したのに判決後、福祉を受けることを拒否して入らなかった人の話を読むと、裁判所がどこまで考慮していいか、とても難しい。