瀬木さんの本

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

筆者はなんだかんだ裁判官を30年勤め、業績も残し、局付だの民事調査官だの経験されている方。嫌な面ばかり書いてあるけど、正直言って、自分の日々の実感や漏れ聞く事に沿っている。沿っていなくはない。
高裁・事務局の内実や人事の話など…。今までに触れた、穿った見方すぎて疲れる批判本とは違うような。

ただ、嫌な面ばかり取り出したらこの本の実感と同感だけれども、尊敬する人もいるし、部長・裁判長のここを尊敬しているというところもそれぞれある。この本の最後にも書かれてるように、他の組織にも通じる面はおそらくあって、そんな中でも一つの事件の中では自分の考え・信念を(事件の巡り合わせと、この本にあるような有形無形の圧力に屈せず気にかけなければという条件付だけど)表していけるというのが裁判官って職種のメリットであることは、否定できないとは思う。
一方で、閉じこもらずに(趣味の世界だけ広げてもなので視野の方)、主観も客観も忘れずにやってきたいなと思います。

近年就任した某最高裁判事のことや、少し調べればすぐ分かるような筆者退官時の某所長の対応、さらに某長官の話など赤裸々で単純に面白いとこもある。
裁判員裁判導入の裏側というか解釈も、手厳しいけども。

裁判所内での評判は、いろいろ。というか、相当の人数の人が読んでいることに驚いた(たとえば同じ期の人6人に聞いたら5人が読んでいた)。