シネマパラダイス★ピョンヤンの感想


映画「シネマパラダイス★ピョンヤン」。同時期に公開されている2本の北朝鮮テーマの映画から、明るそうなほうを選んだ(もう一つは「強制収容所に生まれて」)。北朝鮮の「映画界」に密着したドキュメンタリー。金正日の趣味とかで、北朝鮮は映画に力を入れているらしい。シンガポールの監督2人が「無数のメールのやり取りの末」、撮影許可された条件は?外出には必ず案内員が同行すること、?撮影したものはその日ごとに検閲に出すこと、等々。
 映画では、ピョンヤン演劇映画大学の様子、そこで映画を学ぶ男子学生ウンボム、女子学生ユンミ、国内で成功しているベテラン映画監督ピョさんのインタビュー&映画撮影の様子なんかがでてくる。
 ピョ監督の映画は、祖国を奪われてくやしい!日本人を許さない!みたいなテーマばかりなんだけど、おもしろかったのは、エキストラで朝鮮人民軍の若者たちに、その「くやしい!許さない!」って演技をさせるときのようす。インタビューで、監督は、そういうテーマの映画を撮る熱い気持ちを語っているんだけど、若者たちにはぜんぜん伝わらない。「もっと泣け!祖国をとられて悔しくないのか!なんで笑っているんだ!」最終的には、目に何やらしみる液を使って泣かせる始末^^;
 ウンボムの両親は国民的映画スター(女優の母がとてもきれいだった)、ユンミの父親は科学者で将軍様から重宝されてるそうで、ユンミの自宅が出てきたけれどとてもよい家で、ふつうによい食事だった。すごくよい階級の人たちみたい。
 停電の場面は何度かあった。検閲で削除されそうになったのをなんとかがんばったらしい。
 各所で、監督が検閲にあいながらも端々から等身大で伝えようという努力がみえる。「当局検閲済」なので、びっくり映像があるわけでは全くないのだけれど、万歳!的な賛美をやや離れたところから見せる。