反省させると犯罪者になります

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

要するに、反省だけをさせても不満がたまるだけで余計抑圧され逆効果だ、反省させる前に、どうして犯罪してしまったのか、そのたまった不満(「あいつ=被害者さえいなければ」というような否定的な感情)を徹底的に吐き出させることが必要だという話。「加害者の視点」を考えさせる前に被害者の視点で考えさせても何もうまれないとのこと。
裁判でも「反省」しているかという視点のむなしさは、度々感じるところではある。
「迷惑をかけて申し訳ないと思っている相手」に手紙を書く練習ではなく「自分が迷惑をかけられた相手」へのロールレタリングこそまず行うべきだという。立派な反省文を書かせても、どうやったら許してもらう方向に行くかなとか有利かなとか考えて意味ない、問題行動するまでに至った鬱屈した感情を、抑え付けるだけだということ。
確かにそうだろう、たぶんそうなんだろうと思う。自分も高校のときになにかで反省文書かされた気がするけどそういう思考で書いてたからか、なにかさえも覚えてないものな。
ただ、裁判の場で、どこまでできるんだろうか。裁判所の役割ではないと割り切るしかないんだろうか。裁判所なんて、否定的な感情を言ってはいけないと考えられてれ最たる場所だろう。カウンセリングでもないし、悪いようにはしないからと言っても、成人の裁判で、否定的な感情を赤裸々に吐露する被告人なんてそうそういるとは思えない。かといって、事件についてどう考えてるかは聞かないわけにはいかないから、聞いて、反省の言葉が出てくれば、考慮しないわけにはいかない。
でも、思うのは、この本のような考え方も広く知られたらいいなあということ。
奇をてらった題名だなあと思ったけど、思ってた以上に、入ってくる本だった。