帰ってきたヒトラー 下

帰ってきたヒトラー 下

帰ってきたヒトラー 下

読み終えて、「えっ、この先も気になる!」と。
下巻は、上巻の、「60年後にヒトラー本人がよみがえって現代を観察する・ヒトラーそっくりさんとして本人は大真面目なんだけどまわりには大ウケという面白おかしい側面が中心なのではなく、(上巻でももちろんあったけれども)さらにナイーブというか、ヒトラーの行った負の所業に、よりスポットをあてた風刺というかんじに思った。ヒトラー礼賛は法律で禁止されているらしいというドイツで、ヒトラーが往来の思想のままで堂々と持論を語る。読みながらけっこうひやっとするんだけど、とにかく周りは、強烈なブラックジョーク「以外であるはずがない」と思い込んでるから、じつは大きくズレながらも会話が成り立ち(当然の前提として、番組前にテレビ局の人が念のため「ユダヤ人は冗談の種にはならない」と忠告するのに対してヒトラーが「この人はわかっている」と感じ「勿論」と応じるのに代表されるような)、いろいろと成功をおさめていく・・。
最後では政界進出?も匂わせるのだけど、彼が現代で、芸人としてであれ知名度・影響力を得た上で、その演説力やカリスマ性なんかをもってしたら、万が一にもまた説き伏せられてしまうんじゃないかというような不安をも感じさせてしまうブラックユーモアでした。
フツーに考えたらありえない思想が支持されて推し進められたっていうのはなんでだったの?っていう検証は、やっぱりなくてはならないようです。
というのも感想を考えながら思ったけれども、とにかくこの本について言えることは、上下巻おもしろーい!ってフィクションだってこと!!