政府の憲法解釈

政府の憲法解釈

政府の憲法解釈

元法制局長官の本。法学専攻者の教科書的なものかと思ったら、まえがきによればそうとは限らず広くみんなに知ってもらうことが目的のよう。
国会会議録や質問主意書答弁書等を丁寧に引用しながら解釈を説明してくれている。憲法9条の解釈説明に半分弱ほどを費やしている。
やはり興味があるのは集団的自衛権のあたり。
阪田氏は、「政府の憲法解釈についての政府の見解」として、政府の法令解釈は推敲を重ねて確定しているもの・またすべきものであり、法文の解釈の変更には十分に合理的な理由と説得力のある論理が必要であり、時々の内閣が恣意的にこれを行うことは許されず、特に憲法解釈はとりわけ慎重でなければならず、国会等における論議の積み重ねには、解釈に矛盾がないか・一貫性があるかという点に厳しい目が注がれてきており、これまで(「文民」についての解釈を唯一の例外として)揺らぐことがなかったという。
政府の憲法解釈は、丹念に丹念に検討してひとつずつブロックを積み重ねていくがごときもののようだけど、この本で解釈の道筋を丁寧にたどってみると、集団的自衛権の今回の解釈変更は、これまで積み重ねてきた解釈の上に重ねるというより、よいしょと何ブロックか外して別のブロックをその上に置くようなものだ、「その当否はともかくとして」。
裁判官の報酬減額の話もあった。国会の会議録があり、裁判官会議でも話し合われたとの記述もあった。
法制局の仕事も垣間見える。自分はこれからどんなところで働くのかなあ。